普段、当たり前のように楽しんでいる一杯のお茶。とても身近な存在ですが、それが実際にどのように作られているのか、知る機会は意外と少ないのではないでしょうか。
ティーアドバイザーである私も、書籍で学ぶことはあっても、製茶現場に足を踏み入れる機会は希少でした。しかし今回、縁あって埼玉・秩父で茶摘みや製茶のお手伝いをさせていただけることに。
そこで今回は、一杯のお茶がどのようにしてできるのか、茶摘みから製造の流れまで、現場からレポートしていきたいと思います!一言で「お茶」といっても緑茶、紅茶、烏龍茶など様々な種類がありますが、今回は緑茶の中でも最もポピュラーな、煎茶にフォーカスを当ててご紹介します。
新緑の季節、一番茶を収穫!
秩父のお茶

今回お手伝いに伺ったのは、埼玉県秩父郡・横瀬町の茶農家さん。
その年の一番最初に育った新芽を摘み取る、「一番茶」の収穫をしていきます。
一番茶の茶摘みは「八十八夜」で知られる5月2日頃が一般的ですが、冷涼な秩父では収穫時期がずれ込み、5月中旬頃から茶摘みがスタート。
冷涼な山間地でお茶がゆっくりと育つため、収穫回数は年2回ほどと温暖な地域よりも少なめです。しかし、昼夜の寒暖差が大きく霧も発生するこの地域では、香りの良いお茶が育つと言われています。
やわらかい新芽を収穫!

茶摘みでは、育ったばかりのやわらかい新芽を収穫していきます。硬い葉が混ざらないように、新芽の上部から「一芯二葉」や「一芯三葉」を目安に収穫するのがポイント。

昔は手摘みでしたが、大変時間がかかるので、現在は機械を使って収穫するのが主流です。
平地の大型茶園では乗用型の機械も導入されていますが、傾斜地の多い秩父では、小型の摘採機を使用。摘採機と茶葉を入れる袋を手で持ち、畝間を歩きながら収穫していきます。
硬い葉が入らないよう、適切な位置で刈り取る必要があり、お茶の品質を左右する大切な作業です。

収穫作業は早朝から行われ、数時間後には収穫された生葉がどっさり!生葉は水分を含むため重量があり、運ぶ作業も重労働です。
収穫後はゆっくり休憩したいところですが、摘んだ生葉は鮮度が命。一息ついたら、すぐに製茶工場へ運びます。
︎製茶工場で、摘んだ生葉を製茶!
お茶の葉は、摘んだそばから酸化が進み、成分が変化していきます。そのため、できれば当日中、遅くとも翌日には製茶加工をし、保存がきく「荒茶(あらちゃ)」の状態まで仕上げる必要があります。
製茶の工程は、大きく分けて2ステップ。
- 「荒茶」の製造
- 「仕上げ茶」の製造
以下では、各工程でどんなことが行われているのか、主なポイントをご紹介します!
①「荒茶」の製造
荒茶は大まかに言うと、「蒸す」、「揉む」、「乾燥させる」工程を経て完成します。昔のお茶づくりはすべて手作業だったそうですが、これはかなりの重労働。現在は、手揉み製茶の工程を再現した機械が導入され、製茶を行っています。
︎まずは蒸す!

まずは生葉を蒸して、酸化酵素の働きを止めます。
お茶の出来を左右する重要な工程で、蒸すことで、緑茶特有のフレッシュな緑色と味わいが楽しめるようになります。また、熱が通り葉が柔らかくなることで、その後の「揉み」工程がしやすくなります。
︎揉み&乾燥で、水分量を約5%へ!

揉む工程には、「粗揉(そじゅう)」・「揉捻(じゅうねん)」・「中揉(ちゅうじゅう)」・「精揉(せいじゅう)」という4つの工程があり、それぞれ揉み方が異なる、専用の機械が使われます。

写真は「中揉」が終わった後の茶葉の状態。過程が進むごとに、普段私たちが見るような「お茶」の姿へと近づいていきます。

最後は茶葉に熱風を当てて、水分量が5%程度になるまで乾燥。「荒茶」の完成です。
②「仕上げ茶」の製造
大きな茶葉をカット&サイズ別に分類

出来上がった「荒茶」は、まだ茶葉のサイズもバラバラで、茎や粉が混ざった状態です。これを、裁断、ふるい等を経て分類し、煎茶の元となる「本茶」の他、茎や粉、大きすぎる葉に分けていきます。
ちなみに、「本茶」以外の副産物は「出物」と呼ばれ、茎茶や粉茶などで活用されます。
火入れ

最後の仕上げは「火入れ」です。
火入れをすると、お茶の香りがさらに増し、すぐにでも飲みたくなるような、美味しそうな香りが漂います。フレッシュな香りを守りたいなら弱めに、香ばしい香りを出したいなら強めにするなど、どんなお茶にしたいのかに合わせて火力等を調整します。
お茶が完成!

茶摘みから荒茶の製造、そして仕上げの工程を経て、私たちが普段口にしているお茶が完成!
必要に応じてブレンドやパッキングをして、私たちの元に届きます。
まとめ
今回は、茶摘みから製造の流れまで、一杯のお茶ができるまでの工程をご紹介しました。
普段何気なく味わっているお茶ですが、つくり方を知るとその美味しさもひとしお。いつものお茶がさらに有難く、奥深く味わえますよ。嬉しいことに日本はお茶生産国で、茶産地が全国各地にあります。ぜひみなさんも、茶産地に足を運んでみてはいかがでしょうか。また、今回ご紹介した埼玉・秩父のお茶は、山間地特有の豊かな香りが特徴です。もしお店や旅先で見かけた際は、ぜひ味わってみてくださいね。


