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【世界の紅茶産地】早わかりガイド

茶の知識

無限とも思えるほどの種類が楽しめる紅茶。

世界各地の様々な茶園で生産された茶葉や、各ティーブランドが発売するオリジナルブレンドなど、毎日飲んでも尽きない魅力で一杯です。

こうして普段、何気なくいただいている紅茶は、どこから来たものなのでしょうか。茶葉が来た産地に思いを馳せながらいただくと、毎日の紅茶がもっと味わい深いものになるはず!

この記事では、世界の紅茶産地について代表的なものをピックアップし、それぞれの茶葉の特徴を紹介します。

世界の代表的な紅茶産地

紅茶でまず有名なのは、世界三大銘茶であるダージリン、ウバ、キームン。

これらはそれぞれインド、スリランカ、中国の茶産地の名前で、多くの場合、茶産地の名前はそのまま銘柄名にもなっています。各茶産地は、標高、気候、土壌などの自然条件が異なり、そうした違いが様々な個性を持った茶葉を生み出しています。

そんな世界三大銘茶を抱えるインド、スリランカ、中国にはどんな茶産地があるのでしょうか。国ごとに、代表的な産地を紹介します。

インド

インドの紅茶生産は、イギリスによる植民地時代、19世紀に始まりました。

中国の銘茶産地と似た気候を持つダージリンでは、1840年に中国種の茶の木栽培に成功。また、アッサムでは1823年にアッサム種の茶の木が発見され、その後栽培に成功。1839年にはアッサム・カンパニーが設立され、大規模栽培が開始されました。(茶の木の品種についてもっと知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。)

茶の木の品種は大きく分けて2種類:中国種とアッサム種の違いと特徴
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インドの茶産地は、ダージリンやアッサムなどが位置する北東部と、ニルギリが位置する南部の2つのエリアに分けられます。

ダージリン【世界三大銘茶】

世界三大銘茶の一つであるダージリン。

ヒマラヤ山脈の麓に位置し、寒暖差の大きい高地の気候と、しばしば発生する霧が育む優れた香味は、「紅茶の王様」と称されるほどです。

ダージリンティーには、3つのクオリティーシーズン(旬)があり、それぞれ別の個性を持っています。ファーストフラッシュ(春摘み)は、春の息吹が感じられる爽やかな優しさ、セカンドフラッシュ(夏積み)は「紅茶の王様」という名にふさわしい芳醇な香味、オータムナル(秋摘み)は深いコクと熟した香りを楽しめます。

アッサム

アッサムは、北はヒマラヤ山脈、南と東はパトカイ山脈に囲まれた台地。山々を源流とした広大な川が流れ、傾斜地や丘陵地には茶園が広がります。雨が多く、高温多湿な気候により、アッサムの力強い茶葉が育まれています。

アッサムティーは、水色は深い赤褐色で、コクのある濃厚な味わいと独特の渋み、甘い香りが特徴。ミルクティーにぴったりの紅茶です。

ニルギリ

南インドに位置するニルギリ。標高が高く、年間を通して過ごしやすい高原気候。

水色は明るいオレンジ色。クセがなく、渋みも少なく、すっきり飲みやすい紅茶です。

地理的にスリランカに近く、自然条件が似ているため、スリランカ産の茶葉の特徴に似ています。

スリランカ

スリランカの紅茶栽培は、イギリスによる植民地時代の19世紀、アッサム種の栽培に成功したことから始まりました。独立後、国名を変更するまでセイロンと呼ばれていたため、スリランカの紅茶はセイロンティーとして普及しています。産地の標高によって、ハイグロウンティー、ミディアムグロウンティー、ローグロウンティーに分類することができ、それぞれ特徴をもった茶葉が楽しめます。

ウバ【世界三大銘茶】

スリランカ南部に広がる山岳地帯の東側斜面に位置するウバ。標高が高く、ハイグロウンティーに分類されます。

世界三大銘茶の一つで、きりっと爽快な香りと、心地よい渋みが特徴。ストレートでもミルクティーでも美味しくいただけます。

ヌワラエリア

スリランカ中南部にそびえ立つ国内最高峰、ピドゥルタラーガラ山(標高2,524m)にほど近いヌワラエリア。スリランカの茶産地で最も標高が高く、ハイグロウンティーに分類されます。寒暖差が大きくしばしば霧が発生する高地の気候が、繊細な香味の茶葉を育みます。

水色は明るいオレンジ色で、緑が感じられる爽やかな香味と心地よい渋みが特徴です。

ディンブラ

スリランカ南部に広がる山岳地帯の西側斜面に位置するディンブラ。標高が高く、ハイグロウンティーに分類されます。

水色は明るい茶色で、優雅な香りとほどよい渋みが楽しめる紅茶らしい紅茶。マイルドなバランスのよさが特徴です。

キャンディー

スリランカ中央部に位置するキャンディー。周囲を山々に囲まれているため季節風の影響を受けにくく、比較的穏やかな気候です。ミディアムグロウンティーに分類されます。

マイルドでクセのない紅茶で、ブレンドティーにもよく利用されます。

ルフナ・サバラガムワ

ルフナはスリランカ南部の標高が低いエリアに広がるローグロウンティー。ルフナの北部に当たるサバラガムワは比較的標高が高く、近年はルフナとは区別して販売されています。旧ルフナの南はルフナ、北はサバラガムワという分類です。ちなみにルフナというのはシンハラ語で「南」を意味し、スリランカ南部を治めていた「ルフナ王国」の名前からきています。地名ではありません。高温多湿の気候が、力強い茶葉を育みます。

濃い水色とスモーキーな香り、重厚な味わいが特徴で、ミルクティーにもぴったりの紅茶です。

中国

茶の生産量が世界一の中国。茶の木の原産地は、中国・雲南省のチベット山脈の高地や、中国東南部の山岳地帯の辺りだと言われていて、古くから茶文化が発達したお茶大国です。現地で飲まれるのは緑茶が中心ですが、紅茶も生産され、世界中に輸出されています。オリエンタルな香味が魅力です。

安徽省・祁門(キームン)【世界三大銘茶】

中国南東部に位置する安徽省黄山市祁門県。仙人が住むかのような重厚な佇まいの世界遺産、黄山の麓にキームン紅茶の産地があります。温暖湿潤で霧が多く、昼夜の寒暖差が大きい気候が、良質な茶葉を育みます。

蘭の花や蜂蜜を思わせる魅惑的な香りと、芳醇なコクが特徴。世界三大銘茶の一つです。

福建省・武夷山

福建省武夷山の山岳地、桐木村で作られた発酵茶は、紅茶の元祖だと言われています。武夷山に自生する茶の木からつくられた正山小種(ラプサン・スーチョン)は、フルーツの龍眼の風味とスモーキーな香りが特徴。茶葉を乾燥させるために松の木の煙を使ったために意図せずスモーキーな香りがついたようですが、海外でそれが受け、より強く着香したものが多く生産されています。世界初のフレーバーティーとしても知られています。

独特のスモーキーな香りが特徴的な紅茶です。

雲南省

中国南西部に位置する雲南省。1700年以上前から自然の茶樹を利用し茶を生産していた、歴史ある地です。雲南省はプアール茶の産地として有名ですが、近年は紅茶も生産。雲南紅茶や滇紅(※滇は雲南省の古称)、Yunnan(ユンナン)などの名前で販売されています。

芳醇な香りとまろやかな甘み、濃厚なコクが特徴です。

まとめ

以上、世界の紅茶産地について代表的なものを紹介しました。

それぞれの土地が育む茶葉は、それぞれの個性があって飲み比べてみるのも楽しいですね。現地に想いを馳せながらいただくと、有難みもひとしおです。

すでに活用されている方もいると思いますが、グーグルマップでは現地の地図や写真も見られるので、旅気分で探検しながら楽しんでください。

今回紹介した以外にも紅茶産地は沢山ありますが、また別の機会に紹介したいと思います。

※以下の書籍を参考にさせていただきました。膨大な情報をわかりやすくまとめてくださっており、どれもおすすめの書籍です。

参考文献:
・日本紅茶協会『紅茶の大事典』成美堂出版,2013
・磯淵 猛『紅茶の教科書』新星出版社,2012
・磯淵 猛『一杯の紅茶の世界史』文春新書,2005

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