日本人にとって身近な存在の緑茶。でもそんな緑茶がどのようにして作られているのか、なかなか知る機会はないのではないでしょうか。
日本三大銘茶の1つ、狭山茶の産地では、毎年6月上旬頃に「狭山茶摘み体験フェスタ」を開催しています。茶摘み体験や美味しいお茶の淹れ方教室、手もみ茶の実演など、お茶の魅力を五感で学べる盛り沢山の内容です。
この記事では、2023年6月3日(土)に埼玉県茶業研究所で開催された「狭山茶摘み体験フェスタ」を訪問した際の様子をレポートします!
「狭山茶摘み体験フェスタ」とは?
「狭山茶摘み体験フェスタ」は、埼玉が誇る「狭山茶」の魅力をもっと知ってもらうため、埼玉県茶業研究所、一般社団法人埼玉県茶業協会、埼玉県茶業青年団が共催で開催しているイベントです。開催時期は毎年6月上旬頃。例年5月頃に埼玉県ウェブサイト内の「埼玉県茶業研究所」のページ等で詳細の告知があります。
会場は、茶業専門の研究機関である「埼玉県茶業研究所」。最寄り駅のJR八高線金子駅からは徒歩約30分と、公共交通機関ユーザーにとってはなかなか辛い立地ですが、道中は茶畑が一面に広がり気分が盛り上がります。徒歩の方はその風景も楽しみながらのんびりお散歩がてら行ってみてください。
●住所:
〒358-0042 入間市上谷ケ貫244-2
●アクセス:
【バス】西武池袋線入間市駅南口バス乗場から乗車(1番乗車口) → ①河辺駅北口行各路線/谷ヶ貫寺下車 徒歩20分 ②中神行/中神下車 徒歩25分
【鉄道】JR八高線金子駅下車 徒歩30分
【自動車】圏央道入間インターから5分(駐車場あり)
「狭山茶摘み体験フェスタ」の主なプログラム

「狭山茶摘み体験フェスタ」の主なプログラムは以下のとおり。(※2023年6月訪問時の内容です。)
物販や飲食出店ブース以外はすべて無料という、ずいぶん太っ腹なイベントです。
「狭山茶摘み体験フェスタ」で狭山茶三昧!
ここからは、各プログラムの様子をレポートします!
茶摘み体験
数あるプログラムの中でも特に人気だったのは、「茶摘み体験」。受付ブースで整理券をゲットしたら、指定された時間に合わせて集合場所へ向かいます。

並んでいる間には、お茶の摘み方の簡単なレクチャーがありました。写真にもあるとおり、以下のポイントを守って摘んでいきます。
●上の2~3枚のところで摘む
(※「一芯二葉(いっしんによう)」または「一芯三葉(いっしんさんよう)」といい、新芽の先の柔らかい芯と、その下の2〜3枚の葉を摘みます。)
●摘むときはポキッとおる

今回茶摘みをさせていただくのは、日本茶の代表的な品種「やぶきた」。このイベントに合わせて収穫を待ってくれていたそうです。今年は天候が良く生育も良かったそうなので、このイベントが開催された6月には芽や若葉が少し黄色っぽくなっていました。それでも、十分に美味しそうです!

指定された茶摘みエリアに1m間隔ぐらいで並んで、茶摘みスタート!

いただいた茶摘み用のビニール袋に、摘んだ茶葉を入れていきます。
摘んだ茶葉は全てお持ち帰りできるので、自宅で手作り茶をつくってみても、天ぷらなどのお料理にしてみてもOK。嬉しいお土産ができました!
美味しいお茶の淹れ方教室
続いて体験したのは、「美味しいお茶の淹れ方教室」。受付で整理券を受け取り、指定された時間にブースに集合します。
この教室では、日本茶インストラクター協会認定の日本茶アドバイザーの方が先生となって、美味しいお茶の淹れ方をレクチャーしてくれます。使用したお茶は、やぶきた種・深蒸しの狭山茶の新茶です。
ここでは、美味しいお茶をいれるための4つのポイントを教えてくださいました。
- 茶葉の量:
基本は1人あたり2-3g(※ティースプーン山盛り1杯は3g、軽く1杯は2g)。人数に合わせて調整しましょう。 - お湯の温度:
甘み・うまみ成分のアミノ酸・テアニンは、低い温度でも抽出できます。一方、渋み成分のカテキンは、高い温度で抽出されやすい成分。そのため、甘みを楽しみたい場合には使用するお湯の温度を下げるのが基本です。一般的に、お湯の温度は器を移すごとに5-10度下がるので、湯冷ましや茶碗をつかって、好みの温度に調整します。 - お湯の量:
茶碗の8分ほどまでお湯を注ぎ、そのお湯を急須にいれてお茶を抽出します。茶葉がお湯を吸収するので、出来上がりは茶碗の7分ほどの量になります。 - 浸出時間:
浸出時間は、通常の煎茶は1分ほどですが、深煎り茶は抽出しやすいので40秒ほどでOK。急須にお湯をいれ、蓋をして待ちます。二煎目は茶葉が開いているので、20秒ほどで抽出できます。

抽出したお茶は、濃さを均一にするためにまわし注ぎます。最後の一滴まで注ぎきるのを忘れずに。お湯を急須の中に残さないことで、二煎目も美味しくいただくことができます。
教えていただいたコツを暮らしの中で実践すれば、毎日のお茶時間がもっと豊かになりますね!ちなみに、レクチャーで淹れていただいたお茶はその場でいただけます。お茶の淹れ方を学びながら、美味しい狭山茶の新茶を味わえる、有難い企画でした!
手作り茶実演(炒り&蒸し緑茶、和紅茶の作り方の紹介)
「手作り茶実演」ブースでは、お家でできる緑茶、紅茶の作り方を実演紹介。茶摘み体験で摘んだ茶葉を使って、お家でお茶づくりに挑戦することができます。
手作り緑茶

緑茶は、「フライパンでつくる炒り緑茶」と「電子レンジでつくる蒸し緑茶」の2種類の方法が紹介されていました。写真は、出来上がるまでの茶葉の変化の様子です。
炒り緑茶は蒸し緑茶よりも香ばしい仕上がりになります。
どちらの方法も、作り方は「茶葉を加熱する→揉む→水分が出てきたら再度加熱して乾燥させる→揉む」を繰り返すのが基本。繰り返すうちに水分が抜け、お茶が出来上がります。
フライパンでつくる炒り緑茶
1.油を使わずに茶葉を炒める。
2.水分がなくなる程度まで炒めたら、とりだして茶葉を手で揉む。塊にして転がすようにくるくるすると、水分がでてくる。
3.水分がでてきたら、再度炒める。
4.1~3を、茶葉がぽきっと折れる状態になるまで繰り返す。
電子レンジでつくる蒸し緑茶
1.茶葉をいれたお皿にラップをして、電子レンジ(500ワット)で1分加熱。
2.取り出したら茶葉を手で揉む。塊にして転がすようにくるくるすると、水分がでてくる。
3.水分がでてきたら、再度レンジにかける。
4.1~3を、茶葉がぽきっと折れる状態になるまで繰り返す。(※ラップをかけるのは最初だけで、2回目以降はラップなし。加熱時間はすべて1分。)
手作り紅茶

日本茶を使った紅茶である「和紅茶」も、手作りすることができます。写真は、紅茶ができあがるまでの茶葉の変化の様子です。
自分でつくる手作り紅茶
1.摘んだ茶葉を天日干しして茶葉を萎凋(いちょう)させ、香りをだす。
2.その後、茶葉を手で転がすように揉む。
3.濡れ布巾にくるんで2時間ほど発酵させる。
4.発酵させた茶葉をフライパンやレンジで加熱して乾燥させれば出来上がり。

手作りするのは大変手間がかかるので、通常は機械を使って製茶します。写真左奥にあるのが茶葉を揉む機械、右手前にあるのが茶葉を乾燥させる機械です。
手揉み茶実演

熟練の職人さんによる、「手揉み茶実演」コーナーも。職人さんの絶妙な手さばきと、針のように美しく整っていく茶葉の様子は、時を忘れて見入ってしまうほどの美しさです。
お茶の天ぷら試食

揚げたての「お茶の天ぷら試食」コーナーもありました。提供されていたのは、緑茶の天ぷらと、紅茶の天ぷらの2種類。抹茶塩も用意されています。紅茶の天ぷらは初めてで驚きましたが、紅茶の香りがよく、美味しくいただきました。
クイズラリー・物販・飲食ブース

他にも、子供から大人まで楽しめるクイズラリーや、ショッピングやグルメを楽しめる物販・飲食ブースもありました。
物販ブースには狭山茶の新茶や、各生産者の和紅茶の販売もあり、お土産探しにもぴったりです。
お茶の苗木も販売されており、自分で育ててみたいという方に人気。早々に売り切れてしまうこともあるそうなので、欲しい方は早めに行くことをおすすめします。
おわりに:狭山茶の魅力に浸る一日!
「狭山茶摘み体験フェスタ」は、茶摘み体験から手作り茶の実演、物販に至るまで狭山茶を満喫できる、盛り沢山の内容でした。お茶の生産・販売・研究にかかわる方やお茶好きが集まり、皆で狭山茶の魅力に浸るこちらのイベント。気になる方は新茶の季節、5月ごろになったら、埼玉県のウェブサイト内にある茶業研究所のページをチェックしてみてくださいね!
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