2014年から開催されている日本茶品評会「日本茶AWARD」。多種多様な日本茶の魅力を知るきっかけになると、年々注目を集めています。実はこの「日本茶AWARD」、一般消費者が審査員として参加できるのをご存じでしたか?
今回私は、2024年に所沢会場で開催された審査会に参加することができ、20種類のプラチナ賞受賞茶の飲み比べと「My Best Tea」の投票を行ってきました。そこでこの記事では、日本茶AWARDの概要から、審査員への参加方法、審査会当日の様子まで、詳しくレポートしていきたいと思います!
「日本茶AWARD」の概要
「日本茶AWARD」とは?
「日本茶AWARD」は、「日本茶をもっと楽しくおもしろく」をテーマに、NPO法人日本茶インストラクター協会等が開催する日本茶の品評会。2014年から開催され、年々注目を集めています。審査基準として大切にされているのは、消費者に選ばれる「美味しい」お茶であること。そのため、専門家だけでなく一般消費者も審査員を務めるのが大きな特徴です。
公式サイト: 日本茶AWARD 公式サイト
「日本茶AWARD」受賞茶は各茶園や専門店から直接お取り寄せができることが多いので、気になるお茶が見つかったらチェックしてみましょう。また、楽天市場などの大手通販サイトでも、一部の商品が購入できます。
楽天市場で「日本茶AWARD」受賞茶を探す Yahoo!ショッピングで「日本茶AWARD」受賞茶を探す審査の流れ
日本茶AWARDでは、専門家による一次審査・二次審査、消費者による三次審査を経て、各賞が決定されます。それぞれの段階で決定される賞について、以下に詳しくまとめました。
- 一次審査
・二次審査専門家による審査・「プラチナ賞」、「ファインプロダクト賞」、「審査員奨励賞」、「高宇政光賞」を決定。(※「高宇政光賞」は、発起人である高宇政光氏(2021年7月逝去)の功績をたたえて創設された賞です。)
- 三次審査消費者による審査
・二次審査で選ばれた「プラチナ賞」受賞茶(約20点)を対象に、一般消費者が審査・投票。
・投票結果をもとに、審査委員会の選考会議を経て、「日本茶大賞」、「日本茶準大賞」を決定。
・「日本茶大賞」をはじめとする上位入賞茶には、「農林水産大臣賞」、「農林水産省生産局長賞」等を併せて授与。
ちなみに2024年は、一次・二次審査を経て、出品総数562点の日本茶から、「プラチナ賞」20点、「ファインプロダクト」賞22点、「審査員奨励賞」29点、「高宇政光賞」1点が選ばれました。受賞茶の詳細は、「日本茶AWARD」公式ウェブサイトで確認できますよ。
三次審査・審査員への参加方法
三次審査は、日本茶インストラクター協会会員がホスト役となり、全国各地で開催されます。審査員の公募がされている会場は限られますが、日本茶AWARD 公式サイトのお知らせページ等に掲載されるので要チェックです。
参考までに、2024年の申込みの流れを以下にまとめておきます。
- 1日本茶AWARD 公式サイトのお知らせページをチェック
・日本茶AWARD 公式サイトのお知らせページで、審査員の公募情報が掲載されます。
・2024年は、横浜、熊本、浜松、所沢で審査員の公募がありました。
・チェックする時期は、二次審査の結果がでる9月頃からが目安です。(※2024年の場合です。来年以降は変動の可能性もあることをご承知おきください。) - 2専用フォーム等で申込み
・各会場の募集案内に従って申し込みます。
・定員がある場合が多いので、早めに申し込みましょう。
どんな日本茶が出品される?
出品茶は、”日本で栽培、製造された茶(カメリアシネンシス)”であることが条件です。
カメリアシネンシスというのは、「茶の木」の学名。緑茶や紅茶、烏龍茶等は、それぞれ製造方法は異なりますが、全てこの「茶の木」(カメリアシネンシス)を原材料としてつくられています。そのためこれらのお茶は「日本茶AWARD」の対象、ということになります。
一方、「茶の木」(カメリアシネンシス)以外の植物を使ったもの、例えば麦茶やハーブティーなどは、基本的には対象外。ただし、フレーバーティー部門でブレンドされる場合には、含まれる場合があります。
出品部門としては、以下の14部門。一言で「日本茶」といっても、本当に色々な種類のお茶がありますね!
「日本茶AWARD」出品部門
- 合組(ブレンド)茶部門
- 二番茶煎茶部門
- 烏龍茶部門
- 紅茶部門
- 後発酵茶部門
- ほうじ茶部門
- 萎凋煎茶部門
- 釡炒り茶部門
- 蒸し製玉緑茶部門
- 普通煎茶部門
- 深蒸し煎茶部門
- 煎茶ティーバッグ部門
- フレーバーティー部門
- 有機茶部門
【体験レポ】三次審査に審査員として参加!
申し込みから参加まで
今回私は、所沢会場で開催された三次審査に参加しました。株式会社KADOKAWA主催のお茶の祭典『喫茶来TOKOROZAWA TEA FES 2024』(2024年11月2日~4日)の中での開催です。
申し込みは、日本茶AWARD 公式サイトあるいは『喫茶来TOKOROZAWA TEA FES 2024』の公式サイトの専用申込みフォームから行います。参加可否はその場では分からず、申し込みの数日後にメールで連絡がありました。
来年以降の参考になるかもしれないので、以下に審査会の概要を載せておきますね。
【開催概要】日本茶AWARD2024 三次審査・日本茶飲料部門審査(所沢会場)
●開催スケジュール
・日本茶飲料部門審査【2024年11月3日(日)】1回目 11:00集合/2回目 13:00集合
・三次審査【2024年11月4日(月祝)】1回目 11:00集合/2回目 13:00集合/3回目 14:30集合
(※日本茶飲料部門は、日本で栽培製造された緑茶を原料とした、市販価格1,500円以下で常温保存のボトリングティーが対象)
●所要時間:約1時間15分
●募集人数:各回30名(先着順) ※定員に達しない場合は当日受付あり
●参加費:無料
●対象:一般消費者
●会場:ところざわサクラタウン ジャパンパビリオンホールA(ホール内ステージ)
ところざわサクラタウンとは?
ところざわサクラタウンは、株式会社KADOKAWAが運営する埼玉県所沢市の文化複合施設。紅白歌合戦でYOASOBIがパフォーマンスしたことでも知られる本棚劇場、今は亡き松岡正剛さんが監修した図書館、隅研吾さん監修の建築などなど、見どころ満載のスポットです。
https://tokorozawa-sakuratown.com/
『喫茶来TOKOROZAWA TEA FES』とは?
『喫茶来TOKOROZAWA TEA FES』は、2023年からところざわサクラタウンで開催されているお茶の祭典。様々な「茶」の生産者や専門店が出店し、各店の自慢のお茶に出会うことができます。2024年は45店舗以上が集結。入場無料のイベントですが、テイスティングチケット(当日券:1,200円、前売り券:1,100円)を購入すると、会場内すべての店舗で試飲もできます。お店の方と直接お話ができるのも、大きな魅力。お茶セミナーやワークショップもあり、お茶三昧の一日が過ごせるイベントです!
https://tokorozawa-sakuratown.com/event/kissako2024.html
審査会当日の様子
2024年所沢会場の三次審査は、以下の流れで開催されました。
- 受付集合時間までに受付
まず、指定された集合時間までに受付を済ませます。集合時間を過ぎると参加できなくなってしまうため、要注意です!
- 説明審査会の流れや注意事項の説明
時間になると、進行役の方から審査会の流れや注意事項の説明があります。
- 途中入退席はNG(お手洗いも不可。退席の場合、投票は無効となります。)
- 審査中のおしゃべり、相談はNG
- 審査中の撮影はNG
- お口直し用に持参したペットボトルの水等は飲んでOK
- お茶は、全部飲み切らなくてもOK
- 審査プラチナ賞を受賞した20種類のお茶を、順番にテイスティング
審査時間は約1時間15分。その間、次々と日本茶インストラクターの方々がお茶を淹れてくださり、審査用の日本茶(小さな使い捨てカップで提供)を順次テイスティングしていきます。
ちなみに、茶葉に対するお湯の量は全部門で統一、浸出方法(抽出温度・時間)は部門毎に決まっていて、茶葉の量は出品者が決められるようになっています。お湯は事前に沸かしたものが保温ポットで準備されていました。
お茶の種類は、煎茶、烏龍茶、紅茶など様々。それぞれのお茶をじっくり味わって、各自審査票に評価やメモを記入していきます。(※以下の写真がその審査票。審査会が始まる前に撮影したものです。)
公正な審査をするため、それぞれのお茶についての説明は一切なく、どのお茶が何番に提供されるのかも明かされません。ただ、日本茶アワードのウェブページでプラチナ賞受賞茶はすでに発表されているので、事前にどんなお茶が対象なのかを確認しておくことは可能です。
- 終了審査票を提出して終了
20番目のお茶を飲んだら、一番気に入ったお茶の番号とその理由を審査票に記載して、審査会は終了です。
評価基準は、実際に飲んでみて一番気に入った「my best tea」を選ぶこと。 難しい専門知識は必要ありません。「美味しい!」「好き!」という自分の感覚を信じて、素直に評価することが大切です。
審査票は複写になっていて、1枚目は提出、2枚目(複写)は持ち帰れるようになっています。
実際に審査員として参加してみて…
今回、プラチナ賞を受賞した20種類のお茶をテイスティングさせていただいたわけですが、それぞれのお茶に個性があり、香りや味わいの違いに驚きの連続でした。各生産者さん、お茶屋さんの、努力と情熱が込められた日本茶たち。そう思うと自分が評価するなんておこがましいように感じますが、審査基準通り、素直な気持ちで「好き」なお茶を選びます。
しかしこれが、想像よりもはるかに難しかったです…!以下の3つがその主な理由です。
一つに絞るのは難しい!
正直なところ、1つだけなんて選べません…!
いただいたのは、プラチナ賞を受賞した日本茶の数々。それぞれ特徴があって、美味しいお茶が盛り沢山です。あとはその個性に対して、自分はどれが一番好きか、ということになるのですが、ここで1つに選ぶのは本当に難しい。せめて3つぐらい選べれば良かったのですが…。
まず、普段私はその時の気分によって、あるいは合わせる食べ物によって、「今はこういうお茶を飲みたい」というように選ぶので、好きなお茶の中で優劣はありません。どれも好きなお茶なのです。
また、「日本茶」で一括りというのも難しさに拍車をかけました。緑茶も烏龍茶も紅茶も、そしてフレーバーティーも、全然違うカテゴリーのお茶なので、比べようがありません。
結局私は、「美味しい」というだけでは選べなかったので、「審査会が終わったら買って飲みたい、一番気になるお茶」という独自の基準を付け加えて、最終的に1つを選びました。
後戻りできない!
審査は提供される順番にテイスティングし、後から確かめることはできないので、自分の記録と記憶が頼りです。集中して、常にまっさらな気持ちで、1杯1杯に向き合うことが大切になります。そうはいっても、1時間以上続く審査会。前半でいただいたお茶と、後半でいただいたお茶、どちらも同じ気持ちで向き合えたどうかはちょっと自信がありません。また、独特の風味だったり、印象の強いお茶が提供された後には、気持ちの切り替えが難しいと感じることも。どうしても飲む順番が審査に影響してしまいそうな気がします。
選ぶ時間が短い!
これは私が悩んでしまったからでもありますが、最後のお茶を飲んでから、選んで提出するまでの時間が短かったです。一応、審査票を記入するまで待ってくださるようでしたが、周りの方は決めるのが早く、どんどん審査票が回収されていくので、かなり焦ってしまいました…!
そんなこんなで1つの「my best tea」を選ぶのはかなり困難でしたが、審査会を通して色々なお茶に出会え、とても有難い機会でした。審査会では、目の前のお茶がどのお茶なのかを知らされないので、自分の五感を頼りに一杯一杯に向き合うことができます。自分の好みの再確認ができるだけでなく、新しい出会いや発見もある、素敵な時間を過ごせました。
いただいたお茶の順番は後日公開されるので、気に入ったお茶の番号をチェックしておけば、後から購入することもできますよ。
大賞決定はいつ?
気になる三次審査の結果(日本茶大賞、日本茶準大賞の発表、表彰)ですが、2024年11月23日(土)~24日(日)に開催される「TOKYO TEA PARTY」で発表され、表彰式後に「日本茶AWARD」公式ウェブサイトにも掲載されます。激戦の中でどんな日本茶が「日本茶大賞」に輝くのか、楽しみですね!
2024年の「TOKYO TEA PARTY」
- 開催日:2024年11月23日(土)~24日(日)
- 会場:代官山 T-SITE(蔦屋書店)GARDEN GALLERY
- 当日の内容:日本茶大賞、日本茶準大賞の発表、表彰の他、プラチナ賞受賞者によるプレゼンテーションなど、魅力的な企画が盛り沢山。受賞茶の販売も行われます。
まとめ
日本茶の魅力と奥深さを再発見できる「日本茶AWARD」。消費者参加型の審査方式や、お茶生産者や専門家をより身近に感じられるような企画も盛り沢山で、日本茶の世界をもっと楽しめるようになっています。 興味を持った方は、審査会や関連イベントに足を運ばれてみてはいかがでしょうか。
楽天市場で「日本茶AWARD」受賞茶を探す Yahoo!ショッピングで「日本茶AWARD」受賞茶を探す
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