私たちが普段飲んでいる一杯のお茶。その「始まり」がどんなものなのか、見たことはありますか?
今回、取材兼お手伝いに伺ったのは、埼玉県・秩父の山あいで行われた1000本の「茶の木」新植プロジェクト。数年後の美味しいお茶を夢見て、一本一本の苗木を植えた一日の様子を、詳しくレポートしていきます!
埼玉県・秩父郡横瀬町のお茶づくり

埼玉県・秩父郡横瀬町は、中山間地にある自然豊かな場所。
江戸時代から茶栽培が行われ、昭和に最盛期を迎えました。霧深い山あいで採れたお茶は香りが良いと評判ですが、中山間地という地形上、本格的な機械化が難しく、耕作放棄地の増加が課題となっています。
今回植え付けをお手伝いしたのは、この地で新規茶農家として挑戦を始めた「Yarncha(やんちゃ)」さん。2026年3月に新しく1000本の「茶の木」を植え、将来的には併設カフェのオープンも構想する、まさに次世代の茶農家です。
茶園予定地は西武鉄道「芦ヶ久保駅」からもアクセスできる「日向山(ひなたやま)」にあり、その名の通り日当たりが抜群。標高は500〜600mほどで水はけも良く、いちごやぶどうなどのフルーツ農家さんで栄えてきた場所です。
1000本の「茶の木」新植プロジェクト
お茶の専門家からボランティアまで様々な方が参加しながら、数日間に分けて1000本の「茶の木」の苗を植える本プロジェクト。私は植え付け初日にお手伝いに伺ってきました。
植える品種は?

今回選ばれたのは、埼玉県生まれの以下の3品種。(※品種の詳細は、「埼玉県茶業研究所の公式サイト」で確認できます。)
- 「さやまあかり」:最新品種。収量が多く、しっかりとした渋みが特徴。
- 「おくはるか」: 桜葉のような香りが特徴。「おく」は「遅い」を意味し、収穫が他の品種よりも遅く、霜に強い。
- 「ゆめわかば」:「モクセイ」のような甘い香りが特徴。
「さやまあかり」と「おくはるか」をメインに、実験的に「ゆめわかば」も少数植えます。
今回の植え付けのメインとなる「さやまあかり」と「おくはるか」。お昼休みにお茶の試飲を用意してくださり、みんなで飲み比べをしました。
- 「おくはるか」:いただく前に香りを確認すると、本当に、桜葉のような良い香りがします。上品で繊細な香りと味わいで、春を感じるようなお茶でした。
- 「さやまあかり」:香りは弱めですが、いただいてみると、そのしっかりとした味わいにびっくり。緑茶らしい渋みと滋味が、じっくりと広がります。食事やお茶請けと合わせても負けずに支えてくれそうな味わいでした。
茶の木の苗を植え付け!

この日の作業には、茶業研究所の専門家や農業の専門家など、頼もしい助っ人も集結。プロの指導のもと、テキパキと茶の木を植え付けていきます。

植え付けのステップはこちら:
- 土をならす
- 30センチ間隔で、苗を配置する
- 根が十分収まるほど、スコップで深く穴を掘る
- 苗に土を被せながら、植え付ける
- 最後に手で土を「ぎゅっぎゅっ」と押し固めて完了!
この一本一本が、大きく元気に育つことを祈りつつ、ひたすら植えていきます。
1日で約500本!「さやまあかり」の苗が秩父の土へ

午前、午後と合わせて9人のメンバーで作業を続け、この日は「さやまあかり」500本以上の植え付けが無事に完了しました。最後に、苗の周りに藁を敷き詰め、雑草や乾燥から守る処置をして一日の作業は終了です。
作業を終えて改めて茶畑を見ると、秩父のシンボル「武甲山」を臨む絶景に小さな苗木が並び、未来の姿が楽しみになります。茶畑の「はじまり」を感じるような風景は、一日の疲れも吹き飛ぶような美しさです。
とはいえ、お茶づくりはここからが本番。
- 収穫まで: 3〜4年ほど
- 本格的な茶園として: 5〜7年ほど
この苗木が成長し、実際にこのお茶を味わえるのはまだしばらく先のこと。この地に根を張り、どんなお茶へと成長してくれるのか、楽しみに待ちたいと思います。
おわりに
今回は、埼玉県・秩父郡横瀬町で行われた、茶畑づくりの様子をレポートしました。中山間地で耕作放棄地が増えている中でも力強くスタートした、「Yarncha(やんちゃ)」さんの新たな挑戦。埼玉県で生まれた新しい品種に、秩父の山々の環境が組み合わさった時、どんなお茶ができあがるのか。実際にこのお茶をいただけるのはまだ先ですが、その日を楽しみに待ちたいと思います。
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